第10章 MY HOME (トリップ夢)
緊張じみた静寂が流れた。
ダンテは言葉では足りない分を、体温をもってに伝えようとする。
彼女はじっとそれを感じ。
「…ありがとう…」
するりと、ダンテの背中にの腕が回された。
「ありがとう…ごめんね。帰りたいなんて言って」
「俺が聞きたいのはそんな事じゃねえ」
ダンテは、背中に回された細い腕に神経が集中するのを感じる。
から触れられた腕は俺が触れるよりずっとずっと温かい。
はふっと微笑むと、重ねて言った。
「側にいさせて」
側に。
いつも側に。
だから。
だから、ダンテも。
「側にいて」
「あぁ。安心しろ、死ぬまでついててやるよ」
偉そうな事を言いつつもまぁいいかと思う。
不安の相殺。
絆に変わる。
ふっと、ダンテの唇に柔らかいものが触れた。
それがの唇なのだと気付くのに、さほど時間はかからない。
「………」
驚いて目を見張ったダンテに、は笑う。
――あぁ。
やっぱりお前の隣は、俺にとっちゃ楽園だぜ。
楽園に捕まったら、そこからは二度と抜け出せない。
抜け出さない。
「かわいい事してくれるじゃねえか」
ダンテがにやりと笑うと、はにっこりと微笑み。
彼の首に、ふわりと腕を回した。
ダンテはそんなの頭を撫で、安心させるように優しく抱く。
「寂しくなったら、迷わず俺に言え。抱き締めてやるくらい出来る」
「うん」
寂しさなんて俺がぶっとばしてやる。だから は俺の側で笑っていてくれ。
いなくなるかもしれない不安なんて、が笑ってくれるだけで簡単に消えるんだ。
だから
どうか
ずっと。
2006/12/05