第51章 時間制限付きのある日
「大人しくしとけよ。お前はあと24時間で死ぬ。あの赤いコートの野郎が俺らの組織簡単に潰しやがったんだ…同じ目に合わせねえと気が済まねえ。おまけにお前はあの野郎の女。…利用しないわけにはいかねぇだろ?」
説明ありがとう、チンピラ君。
要するに私はダンテの仕事の逆恨みでとばっちりを受け、拉致られて監禁されているのだった。
建物には爆弾が仕掛けられ、犯人は別の場所に移動し爆弾を遠隔操作。ダンテの所にはご丁寧に脅迫状を届けたらしい。
ダンテがお前を助けに来て建物に入った瞬間、問答無用で爆破するというすんぽーだ。どーだすげーだろ。
テンションの上がった犯人の台詞から抜粋。
だけど私は全然慌ててもいないし恐怖も感じていなかった。
いや、ほんの少しだけ不安はある。でもそれだけ。
理由は、爆弾のタイマーがまだ始動したばかりで23時間の猶予があり、一日が経つ頃には死ぬという実感がわかない事。それともう一つ、ダンテが必ず助けに来るとわかっているから。
爆弾のタイマーは私の恐怖を扇動する為か見える位置に置いてあり、規則正しく数字が減っていく。
だけどチンピラさん。脅迫状を送った時点で貴方の負けですよ。
ダンテは攻めるのが大好きで、防御の壁を派手に壊すのも大好きで、だからこの状況は彼にとっては愉しくて仕方ないものになるだろう。
爆弾なんて意味は無い。人質の私ですら、ショーを盛り上げる花吹雪。
その中で圧倒的な力と脅威を魅せるのがダンテだ。