第49章 光 (初代ダンテ)
帰ると家は真っ暗だった。私はそっとドアの鍵を開ける。
ダンテはきっと寝ているのだろう。昔は仕事の選り好みでぼちぼちとしか儲からなかった悪魔退治の仕事は、今は軌道に乗って尚加速し、この地区では有名な店になっていた。
私はダンテが悪魔退治の仕事を始めた頃を知っている。始めはあんな状態で上手くいくのかと思ったが、彼と…バージルと再会して再び別れてから、雰囲気が変わった気がする。
悪魔に事務所をめちゃめちゃにされ、更にトリッシュにもバイクで破壊された店は、今のところ形をまだ保って佇んでいた。
「昨日の仕事、大きかったもんなあ」
私は小さく呟きながらドアを開け、中に入って鍵をかけた。
若かりし頃、忙しないだらしない喧しいと評判だったダンテ自身は、驚くほど落ち着いた大人になっていた。
元気を20代で使い果たしたかと思われるほど物静かになった彼は、どこか熟れたような濃い色気を感じさせて、渋さも相まって女性客には大人気の男である。
ラブレターなんてポストにいくつ入っていたか知れない。わざわざ怖い目に会い悪魔に襲われかけ、ダンテとの接触を図る人までいた。
そんな人と、私は同棲していて。
真っ暗なリビング兼応接室。おそらく部屋で寝ているだろうとあたりをつけた私は、リビングの明かりのスイッチを押した。
「っ!」
押して何となくソファに目をやった私は後退る。
ソファにダンテが寝ていた。