第42章 離れた気持ち
ダンテの気持ちがわかる機械があったなら、私は迷わずそれを使うだろう。
思わずそう思うくらいダンテは気分屋で気まぐれだ。
仮にも彼女という立場の私がいるのに他の女の子と遠慮なく話すし、今日だって。
「ダチと飲み行ってくるー」
「何人?」
「女が2人に男が1人」
プチ合コンでもするつもりですか。ため息が出そうになるけど抑える。
ダンテは私を裏切るような事なんかしないと言い聞かせて。
言えば鬱陶しいと思われそうで、それが怖い。
大丈夫は呪文。
唱えて。
「じゃあ夕飯いらない?」
「おー。悪いな」
「ううん。行ってらっしゃい」
最近は頻繁に出掛けるようになった。
真摯に受け止めていた謝罪の言葉も時が経って繰り返されれば薄っぺらく感じてしまうというもの。
この分じゃ私の誕生日が近いのなんか覚えてないだろうな。
ダンテの背中を見送って扉を閉めてから、ようやくため息が出た。