第37章 真夜中の客 (初代ダンテ)
「そこをどけ!」
「嫌よ」
女の即答。今度こそ死ねる確信。
悪魔の歓喜。
それはそれは嬉しそうに女が笑んだ瞬間、その身体に錆びた刃が突き刺さる。
「畜生が…っ」
ダンテは駆けた。
悪魔を女から突き放し、それほど多くない雑魚を瞬時に片付ける。
剣で薙ぎ、弾丸を打ち込めば次々と消えていく程度の悪魔。
辺りに静寂が戻る。
ダンテは、うずくまり血を流す女を抱え上げた。
血は流れているものの傷は重傷ではなく、運よく急所を外れている。
意識もある。目も開けている。
激痛が走っているはずだというのに、女は震える口を開いた。
「ころ、して…」
「冗談じゃねぇよ。俺は自分から死のうとする奴が一番嫌いなんだ馬鹿野郎」
意地でも助けてやる、と。
その言葉を聞きながら、彼女の意識は薄れていった。
2007/01/29