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【DMC】ダンテ夢短編集

第35章 告白 (学パロ)



ダンテが女生徒に呼び出された時点で気付くべきだった。
今までそういう場面に出くわした事はなくて、考えれば考えるほど不思議なくらい出くわした事がなくて。

女生徒からすると、私がいると気まずくてダンテを呼び出せないのだろう。
ダンテは、今まで何回も何回もそういう事があったのに、私を想って何も言わないでいたのだろう。

ダンテは優しいから。
顔を赤らめうつむきながら呼び出す彼女を断れない。


「好き、です……。…あのっ ずっと…ずっと前から見てて…」

体育館裏。ベタな場所。
ダンテは真っ直ぐに立って、困ったように頭をかいて。
困ったように唸って。

私は体育館の影からその様子を伺っていた。
呼び出されるのを見て普通でいられるわけがない。不安で不安で仕方ない。
自分に自信がないのだという証だとしても、不安で不安で。


告白をした生徒の背中をちらりと見て、いるのがバレてはまずいとすぐに頭を引っ込める。
顔は見えないが、生徒は必死で決死の思いなんだろうと感じた。

私が左手薬指にしている指輪、ダンテが左手薬指にしている指輪、気付かないはずがないのに。


それでも不安は容赦なくを襲う。
勇気を出して告白をした彼女に劣等感を抱く。

私より少しだけ綺麗な顔。
私より少しだけいい頭。
私より少しだけ細い身体。私は、彼女より、少しだけ。
少しだけ。

ダンテは。


「あーのさぁ…知ってると思うけど、俺女いるから…」

「知って…ます」

「うん。だからごめんな」

「………」

「そんでありがとうな」

「…………っ」


走る足音がした。多分、女生徒が逃げた。

変えようとしても変わらなかった気持ちを吐き出し、知っている事実を突き付けられ、変わらない現実に涙。
当たり前だろう。私が彼女でもそうした。


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