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【DMC】ダンテ夢短編集

第34章 空き地に咲く花



「まだだな?まだ食ってねぇな?」

「何を…ああ、ご飯?まだ」

「待ってろ」

そう言うとダンテは引っ込んで、1分もするとシャツを着ながら降りてきた。

「別に急がなくてもいいのに…」

気を遣わせた、という思いから、拗ねたような口調になる。

「一緒に食えないのやだからな」

「じゃあこれからは起きるまで待ってるよ」

この前待ってた時はあんな顔したのに何で今更こんな事、と思ったが。

「それも駄目。俺が起きりゃいい話だろ」

「仕事で疲れてるんでしょう?」

「関係ねぇよ。この前間に合わなくて反省したばっかだしな」

この前?首を捻ったはしかし、すぐに思い当たり目を見張る。

先に食べていりゃいいのに、と言ったダンテ。
じゃあ、この前苦笑したのは。その相手は。
私にじゃなくて、私にそんな行動をさせてしまった彼自身に。

これは彼なりの気遣いと礼儀なのだろうか。仕事が入るとデートも何もかも潰れてしまうから、その償いに。
精一杯の、彼なりの。

自然と微笑む。


「今日、仕事は?」

「ない」

「用事も?」

「ああ。俺とデートしようぜ」

直球で言われて瞬く。悪戯っ子のような笑顔が目に焼き付いた。

「どこで?」

「家の裏にある空き地。花屋の知り合いからたくさん貰ったんで昨日植えたんだよ。に、プレゼント」

食事の手が止まった。
プレゼント、なんて。彼らしくもなく彼らしい。
ちょっとクサい事しちまった、なんてダンテは笑ったけれど。

私は、嬉しくて手が震えた。


「そこで昼メシ食べて、一日中のんびりすっか」

その言葉は何よりもよほど魅力的な誘いに思えた。



2008/05/06
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