第27章 目を開けばそこに
ダンテが仕事からようやく帰って来たのは、深夜も深夜、そろそろ夜も明けよう頃だった。
見送ってくれたは「待ってる」と言っていたが、きっと寝ているだろう。
そう思ったダンテが顔を上げれば、半壊しているような事務所。
窓からは柔らかな光。
一瞬驚きで歩調が乱れた。
──起きてんのか?
いや、あり得ない。
は夜あまり起きていられないのだ。待っている途中で寝入ってしまったと考えるのが妥当。
むしろそこまで頑張って起きていてくれた事を誉めるべきだ。
は約束を破るのを嫌う。
静かに扉の鍵を開ける。
と住むようになってから、壊れていたものを新しく付け替えた鍵。
最初は慣れなくて鍵のかけ忘れはしょっちゅうだったが、ようやく慣れてきていた。
かちゃりと錆びを全く感じさせない軽い音がして、ダンテは扉を押し開けた。
とりあえずを部屋に連れてかなきゃな。
それから、用意してあるであろう夕食を食べて。
考えながら、部屋を見渡すと。