第18章 当ててやろうか
「……ナルシストですか?」
「ちげーよ。ちゃんと聞いてた?俺は今が考えてる事言ってんの。ていうか今の間は何!」
「呆れて物が言えなかっただけです」
「思った?俺の事カッコイイって思った?」
「違うってば」
ちょっとの反応に敏感に気付いてダンテはソファから立ち上がる。
妙に人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべて近づいてきた。
「そーやって否定するとますますあやしーぜ」
「違うって言ってんのにダンテがしつこいから!」
「ほらまたムキになる」
「ったく…言ってなさいよ」
顔をしかめた私にダンテが身体を寄せた。
腰を掴んで抱き寄せ、密着。体温が伝わる。
布巾を畳んでいた手も捕まって、持ち上げられたと思ったらダンテの唇が触れた。
ダンテが覗き込んでくるのがわかる。でも私は顔をそらす。
きっと意地悪い目をしているんだろうなと思った。
目が合わせられなかった。
しかし必死に視線を避けていると、晒け出された首にまたダンテの唇。
ダンテにとっては目の前に御馳走が置かれた状態。
自分よりも幾分白いそこに吸い付き唇を滑らせると、がびくりとして。
逃げ出そうとした瞬間に分かりきったようなタイミングでの目を覆い頭を押さえつける。
もう片方の手は腰からお腹に。後ろからを抱き、目隠しをして。
「ちょっと…見えな…」
前は空。頼りない空間。
焦りが滲んだの耳に、ダンテはそっと。
「じゃあ…"ダンテが大好き"?」
私が思ってる事。
低く囁いて。
そんな事、言えるわけないじゃないの。何考えてんの。
言ったら私がどうなるのかわかってる。
"好き"だなんていつも思ってるけど、絶対に言えません。
いつもやり込められてるんだからこんなささやかな反抗くらい許してくれるよね?
ダンテ、大好きよ。
20070723