第18章 当ててやろうか
「今が考えてること、当ててやろうか」
食事が終わって後片付けの最中、ダンテは言った。
私はせっせとテーブルを拭いている。ダンテはソファに気だるく腰掛け足をサイドテーブルに乗せていて。
アンタも片付けしなさいよと思わなくもないけど、させると逆に汚くなるから絶対言わない。
ダンテには片付けるという言葉はないのだ。
「何?」
「今が考えてる事。そーだなぁ…"ダンテにめちゃくちゃにされたい"っ」
「え、別に違う」
突飛すぎてなんとも思えない。
私が思ってるっていうかむしろダンテの思ってる事じゃないのか。
片付けの手も止めずに斬り捨てたせいでダンテは首を傾げていた。
ずるりと身体が落ちたのを持ち上げて、観察するようにじっとこちらを見る。
そんな見つめるくらいで考えてる事がわかってたまるもんですか。
「んん?じゃ、"夕飯はステーキがいい!"」
「お金ちょうだい」
「"ダンテとお出かけしたい!"」
「これから洗濯してお風呂洗った後貴方の部屋の片付けです」
「"結婚しよう"!」
「それがプロポーズとか言わないでね」
まあ一緒に出掛けたいのは多少あったけど、それを言うのも何か癪。
ダンテはそれから少し考えていたけど、やがて当たらない事に飽きてきたのか視線を外した。
「んあー。"ダンテかっこいい!"」
半ばヤケクソで言ったような言葉。
それに私は思わず黙り込んだ。