第10章 変化
初めて
バージルが一日、帰って来なかった。
は布団の中から起き上がる。結局、昨晩バージルは帰って来なかった。
珍しい。帰って来ないにしても、彼なら連絡のひとつくらいして来そうなのに。
何かあったのだろうかと、不安がよぎる。
しかし、突然ドアが開いて思考は中断された。
「起きろー! って起きてんのかよ」
身体を起こしたに近付いて来るのはもちろんヒュウイ。
ベッドの前に立って顎で階下のキッチンを示し、
「朝飯作れ」
と一言。
は慌てて寝巻きの上に一枚羽織ると、布団の中から足を出した。
「すみません。すぐ作りますね」
立ち上がろうとしたの腕を、ヒュウイは掴んだ。
え、と振り返る。
「んな急がなくてもいい。しかしお前…」
のすぐ目の前に立ち、顔を覗き込むように腰を折る。
「勝手に部屋に入られても、キャーとかやめてーとか言わないのな」
は瞬いた。
いきなり、しかも今更何を言い出すのだろう。少し顔をしかめる。
「…ヒュウイ様が、それを言いますか?」
「俺だから言うんだよ。そんな無防備だと…そのうち襲われるぞ?」
の腕をつかんでいたヒュウイの手が離れ、首に向かう。
片手で僅かに、白い首を絞めた。
「………」
は少し嫌な顔をするが拒絶しない。そう、身体が仕込まれているのだ。
そのまま手を滑らせて肩をなぞった。
寝巻きの襟が引っ張られてずれ、肩が半分ほど露わになる。
が小さく震えた。