• テキストサイズ

【DMC】BLUE

第1章 絶体絶命



「それを食べ終わったら…」

ようやく視線を外したバージルが突然言い、はドキッとした。

───ま まさか出て行けとか……

ここまで助けておいて。
怪我もまだまだ治ってはいないし、そんな事はないだろう。
しかしハッキリと確信はできない。むしろこいつなはあり得そう。
バージルを見る。

彼は本を手に取った。

「もう一度寝るといい。体力を回復しておけ」

「…………」

思わずまじまじと見つめてしまった。身構えていただけに拍子抜け。
彼はその視線に再び顔を上げる。

「何だ」

「ううん…。出てけって言うのかと思った」

「言って欲しいのか」

「とんでもない」

バージルはいかにも呆れたように面倒くさそうに、ため息をついて顔をしかめた。

「俺は中途半端は嫌いだ。一度助けたら最後まで面倒を見る。怪我が完治するまでここにいろ」

は瞬いて、思わず吹き出した。

命令口調の優しさ。
やっぱり、いい人みたい。不器用なだけの人だ。

「ありがとう。宜しくお願いします」

にっこり笑って軽く頭を下げると、バージルはちらりとを見て本に目を落とした。
その口元はわずかに緩んでいるような。
目元はわずかに和んでいるような。

一言「早く食べろ」とそう言って、バージルはずっとの側で本のページをめくっていた。

/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp