第7章 決断
「の髪まで切れて…貴様、ただでは済まさんぞ」
また続いてバージルの声。
もう震えはおさまっているようだが、相変わらず抱き締めた腕は離さない。
―――髪 も…
は呆然と視線を巡らせる。
じゃあ、視界の端に見えたものは…
「髪くらいでうるせえな。命とどっちが大事だよ」
至極面倒くさそうにヒュウイが言い、銃を腰にしまった。
舌打ちが聞こえる。
その中では、心地よい暖かさ身を任せた。
思い詰めた挙句、なんてことをしてしまったんだろうという思いが芽生えるも、どの感覚も遠い。
胸に耳を当てると、心臓の動悸が聞こえてくる。
少し早い。でもバージルが生きている証拠。
無造作に床に落ちた彼の閻魔刀が目に入って、は目を見張った。
―――いつも大事そうにしていたのに、投げ捨てたの…?
少しだけ見える刀身。
投げ捨てるほど、必死でいてくれた?
ヒュウイ様も。
滅多に出さない銃をためらいなく出して撃つくらい―――
「……っ」
じんと目が熱くなった。
ぎゅっとバージルの服をつかむ。
「…」
それに気付いたバージルの手が、優しく体を包んだ。
「心臓が止まったぞ…」
「………っ ごめ、…」
駄目だ。
泣いてしまう。
優しさが、冷たさをとかす。
よりにもよってバージルに溶かされるなんて、
私の心の温度は何度なんだろう。
「私、… どうしたらいいかわか、んな…っ」
必死に訴える。
バージルを悲しませたくてこんな事をしたんじゃないと、伝えたかった。
バージルは何も言わず、を抱き締める。
何を言っても違う気がして、の髪に顔を埋めた。