第1章 絶体絶命
………ひた…
────?
冷たい… 何、コレ……
あぁ…… 三途の川ね?
私、死んじゃったんだ。
情けなく逃げ回って、
青い野郎に見捨てられて、人間の無慈悲を感じながら。
痛みを感じながら。
あいつ…綺麗な顔してるのに、中身は悪魔ね。
恨んでやる。
ホントに見捨てやがって…!
どんな理由があるにしても、あんなに弱ってる女の人を普通放って行く?
あり得ない。
あり得なさすぎる。
───あ
何…?
おでこがあったかくなった…。
手のひらが当たってるの?
何で───…
は指先を動かしてみた。
思ったよりもずっとすんなりと、空気が優しく指をかすめる。
───あれ……動く。
それに勇気付けられて、今度は。
目をうっすらと開く。
───?
天……井?
それだけではここがどこなのかも、自分の状況もわからない。
今度は横を見てみる。
するとそこには…
後ろに流れた銀髪。
アイスブルーの瞳。
人間離れした美貌。
あの男が、いた。
「!!!」
がばっと跳ね起きる。
途端身体中に激痛が走り、はうめいて再びベッドに倒れ込んだ。