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【DMC】BLUE

第5章 招かれざる客



の熱は翌日にはすっかり治っていた。それはもう完全に、逆に不審なくらいに。
あんなに体調が悪かったのに俄には信じられなくてあちこち診てみるが、なんともない。
むしろ元気なくらいでは起き上がっていた。

「ホントに大丈夫みたい…お腹すいた」

「まだ用心しておけ。油断すると倒れかねん」

あまり納得がいかないものの、どこも異常はないので仕方がない。
するとはうずうずと聞いてきた。

「ねえねえ、もう外出てもいい?」

「ほどほどにな」

「はーい」

やった。やっと許してもらった。
動かしていない身体。これで久しぶりに動ける。

急に動かすと辛いだろうから、まずは散歩でもしてきたい。
それから少しずつ身体を慣らして筋トレをして。
ああ、随分筋肉落ちたんだろうなあ。

しかしそれは、何という巡りあわせ。同時刻、一人の男がバージルのいる街へ近付いていた。

バージルの家へ。
のもとへ。


の具合がもう大丈夫だと確認すると、食事を作って来る、と言ってバージルは部屋を出た。
もその後を慌てて追いかける。しばらく歩いていないせいで、何だか懐かしいような久しぶりの感覚。

「ずっと世話になりっぱなしだったんだもん。料理くらいさせてよ」

キッチンに立って準備を始めるバージルに、は声をかけた。
それにちらりと視線を投げ、てきぱきと動きながら振り向かずに答える。

「できるのか」

「みくびらないでください。料理くらいできますー」

拒まないであろう事はわかっていた。例え拒まれたってはやるつもりだった。
今まで世話になりっぱなしだったのだ。はバージルの隣に並んで立ち、手を洗う。

「ゆっくり座っててよ。作ってあげるから」

バージルは少し考えた後、息をついた。仕方ないな、という風に。
大人しくキッチンを離れ、テーブルにつく。

「無理はするなよ」

「わかってる」

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