第12章 舞踏
は人に聞き込みをしながら足を進めていた。
バージルはどこへ行ったのか。彼なら家を出て行って何をすると思うか。
性格が真面目だからこそ、予測がつく。
きっと遠くへ行っただろう。
別れても尚近くにいるような、諦めの悪い男ではない。
きっと仕事を探すだろう。
現実を見る彼は感情に左右されたりせず、まず食料や住む所を確保する。その為にはお金。
そして仕事はきっと、遂行すればすぐにお金が入るものを選ぶだろう。
今日の分のお金もないに決まってるから。手っ取り早く…そう、賞金稼ぎなんかいいかもしれない。
賞金稼ぎが行く所。
手配書がある場所。
役所。
彼の目立つ格好が幸いしてか、聞き込みにはさほど困らなかった。
は確信しながら、町の役所を残らず訪ね回る。
――――――――――
ひどい頭痛だ。頭もぎ取りてえな。
ヒュウイはソファに寝そべり、腕で目を覆っていた。
行かせてよかったのか?
行かせなかったらどうする。何も変わらないだろう。
変わる事を望んでいるのか?
不変は俺が一番嫌いな事だ。変わらないのが見えてるなら自分で変える。
こうなる事を望んでいたのか?
が俺から離れてあいつの所に行くって事か。望んでるわけじゃねえが望んでいないわけでもねえ。
お前は何をしている。
結果を待ってる。
お前は何をしようとしている。
さあな。
お前は何をしようとしていた。
「…………」
腕をどかして瞳を開ければ天井。虚ろな目でどこを見るでもなく。
何を。
何を忘れている。
何を覚えている。
何を。
―――いいのか?
彼女を外に出してよかったのかと、無機質な自分の声が脳裏に響いた。