第13章 特別編｢偏愛…｣

智翔の来訪を、潤どう受け止めたんだろうか…

当然、智子から相談は受けていたんだろうが、いくら智子の願いであっても、潤だってそう簡単に決断出来ることでもなかっただろうに…

｢潤は…、何て…？｣

本心では聞きたくなかった。

それでも聞かずにいられなかったのは、潤がどれ程の決意で智翔を抱いたのか…、そのことが気にかかって仕方がなかった。

｢潤先生ね、最初はお断りになったわ。私のことは娘と同然に思っているからって…｣

確かにそうだ。

潤は智翔が幼い頃…いや、そのもっと前から智翔を我が子のように慈しんでいた。

父親である僕が嫉妬しまうくらいに…

｢それから、こうも仰ったわ…。まだお母さんを愛してる、って…。だから私のことは抱けないって…｣

潤がそんなことを…

｢でも私言ったの。お母さんの代わりで良いからって…｣

｢智…翔…｣

｢お父さんも良く仰ってたでしょ、私とお母さんは性格だけでなく、見た目も良く似ているって…｣

｢あ、ああ…｣

事実、智翔の方が僕の血を濃く引き継いでいるせいか、性格も顔立ちも、少々きつさは感じさせるが、雰囲気自体は瓜二つと言って良い程に、二人は良く似ている。