第12章 追葬…
漸く山門まで上り着いた頃には、僕の膝は情けないくらいにわらっていて…
「ふぅ…」
と、一つ息を吐き出すと、木々の隙間から覗く空を見上げた。
手を伸ばせば届きそうな程近くに雲が見える。
「疲れただろう?」
僕は視線を移すことなく、隣の智子に問いかけた。
「いいえ。だって兄さまが手を繋いでいて下さったから、智子全然疲れてなんかなくてよ?」
「そうか、そうだね」
智子の笑顔があれば、疲れなんてどこか遠くへ飛んで行ってしまう。
僕達は顔を見合わせると、お互いくすりと笑って、二宮と一緒に先に山門を潜った智翔の背中を追った。
山門を抜け暫くすると、おそらく二宮が事前に連絡をしていたんだろう、本堂の奥から腰の曲がった年老いた住職が顔を出した。
「良くおいでなさいました。お元気そうで何よりです」
住職は僕の顔を見るなり、年の割には色艶の良い顔を綻ばせた。
「お久しぶりです、ごふ沙汰してしまって…、ご住職こそお元気そうで…」
幼い頃に何度か会った記憶しかない住職に向かって頭を下げた。
「おや、そちらはもしや…?」
住職が僕を通り越し、智翔の汗をハンケチで拭う智子に向けられた。
「智子をご存知で…?」
「ええ、良く存知上げてますよ。そうですか、あの方があの時の…」
住職が懐かしそうに目を細めた。