第12章 本日の近侍 ※一期一振R18
毎日、ほぼほぼ日替わりの近侍。
気分で決めたり、くじ引きで決めたり、その日の仕事の進み具合によって二夜連続で近侍にすることもある。
今日の近侍はくじ引きで決めた。
書類整理も、刀装作成、鍛刀に至るまでとにかく頼りになる。
近侍としては優秀。
おかげで今日一日楽させてもらった。
けど、彼が近侍として側にいるのは嬉しいような、嬉しくないような。
寝支度を済ませ、布団に入る前にくつろいでいると、部屋の外から声を掛けられる。
「主、まだ起きていらっしゃるのですか?」
「…………」
彼だ。
またいつものが始まるかと思うと、ため息が漏れた。
「失礼します。主、寝る時間はとっくに過ぎていますよ。弟達もとっくに寝ました。入浴は済ませましたか?」
「……はい」
部屋に入って来たのは、近侍の一期一振だ。
何振りもの弟達の兄である彼は、兄気質ゆえ頼り甲斐がある。
だがしかし、小言が多い。
延々と細かく聞かれるのだ。
「歯は磨きましたか?
「磨きました」
「眠れないなら……私が子守唄でも歌って差し上げましょうか?
「……え、遠慮しときます」
彼、一期一振はとにかく私を子供扱いする。
食事は残さず食べなさいだの、日が暮れたら自室から出るなだのと、彼の弟に対するそれよりもだ。
確かに、私は小さい頃から彼らと一緒に過ごして来たし、彼と比べれば私は幼いのだろう。
何百年と時代を渡ってきた彼と、数十年しか生きていない私。
だからといって、ここまで子供扱いしなくてもと思う。