第10章 常世の国 ※加州清光R18
政府から審神者にと請われたのは一ヶ月前のことだ。
突然の通知に義両親は手放しで喜び、私の気持ちは御構い無しに話が進んでいった。
そして今、私は刀の付喪神が住まう本丸へといくのだ。
「いきたくない」
何度そう言っただろう。
言うたびに、義父に説得されてきた。
家のためになる、何より私の将来のためになるのだと。
「向こうへいったら、きちんと挨拶をしないといけないよ。神様に失礼のないようにね」
何度も義母に言い聞かされてきた。
本丸についたら、跪いて神様がくるのをただ待つ。
神様が訪れても、許しがなければ相手の顔を見てはいけない。
名を問われたら、きちんと言うこと。
神様の機嫌を損ねないようにすること。
それを聞いたときは、審神者はなんて窮屈な生活を強いられるのだと憤った。
けど、私が審神者になることで救われる命がたくさんあるのだと。
歴史を守るのは大事なこと。
これまで、数多の審神者歴史を守ってきたから今の私が生きてきた世界がある。
だから、今度は私が守る番なのだ。
任期を終えるまで、精一杯やろう。
そう心に決めて、常世の門へと向かった。