第9章 混み合った電車の中で ※加州清光R18
きっと今、車内が静かになってしまったら、周りにバレてしまうだろう。
彼の指が動くたび、くちゅくちゅと音を立てて花芽が弄られる。
そして、いつしかもっと触れてと言わんばかりに彼の方へと体を寄せてしまっていた。
いつも、見ているだけだった憧れの人。
その彼が、鮮やかな赤い爪紅を塗った指先で、私の恥かしいところをぐちゃぐちゃに掻き乱している。
そう考えると、きゅんとナカが疼いた。
もう無理、我慢できない。
声、出ちゃうよ。
「……んっ」
ぐりぐりと止まない花芽への愛撫に、ついに私の体は達してしまう。
それでも、声が漏れないよう必死に唇を噛み締めた。
どうしよう。
こんなのダメなのに。
電車の中、周りにたくさん人がいる中で、私ははしたなくイってしまった。
憧れの彼の手で。
「可愛くイけたね。一人で歩ける?もうすぐ君が降りる駅だよ」
手で口を押さえたまま、彼に力なく寄りかかっていると、彼に耳元でそう囁かれる。
ゆっくりと後ろを振り返れば、そこには平然とした顔で微笑む彼がいた。
「あ、あの……」
何と言ったらいいかわからない。
いま起きた事すら信じられない中、電車はゆっくりと減速していき、私の降りる駅に着く。
何も言えないまま、彼の顔を見つめていると、彼はさっきまで私の秘部をいじくりまわしていた指先をぺろりと舐める。
「いってらっしゃい。また、明日……ね?」
彼はそう言って微笑んだ。
また明日、と。
終