第8章 本日の近侍※加州清光R18
今日の近侍は加州清光だ。
身なりを整えるのも得意だが、整理整頓も得意な清光が近侍だと、すごく助かる。
「この書類はこっちに置くよー」
「はーい、お願い」
近侍の清光は次々に、無造作に積まれた書類を片付けていく。
馬当番や畑当番を頼んだ時とは大違いだ。
「それで?仕事は書類整理だけで終わり?俺、主の役に立てた?」
「えっ?あ、うん……もちろんだよ」
振り返ると、思ったより清光が近くにいたせいか、心臓がドクンと跳ねた。
白い肌に整った顔。
お人形のように繊細な顔立ちの清光は、私にとって特別だ。
「主の役に立てたならさ……ご褒美、ほしいな」
「ご褒美?」
清光を見つめる私の頬に、清光の手がそっと添えられる。
「ちょっとだけ、主……桜に触れたい。だめ?」
「え……」
近侍の清光。
私の初期刀で、ずっと側にいてくれた清光。
清光は私の返事も待たずに、優しく口付けた。
「俺、桜が好きだよ。誰よりも」
「…………」
私も。
そう言えないことが、何よりも苦しい。
けれど、清光はそんな私でも想ってくれる。
「桜が俺を選べなくても、俺は桜が好きなんだ」
清光は甘い言葉を口にしながら、もう一度、口付ける。
私の着物に手をかけると、帯を緩め、シュッと解いていく。
清光の口付けに応えるように彼の首に手を回すと、清光は嬉しそうに目を細めた。