第7章 学校の先生※へし切り長谷部R18
その視線に気付いたのは、いつだっただろうか。
授業中、生徒から見られているのは何も特別なことではない。
彼女達は俺の授業をただ真面目に聞いているだけ。
誰も、俺自身を見ているわけではないのだ。
その視線に気付くまでは、そう思っていた。
「さ、授業を始めるぞ。教科書を開いて……」
いつもと同じ、教室に入って授業を始めれば、生徒達は授業を聞き、ノートをとる。
その中に、彼女はいた。
後ろから三列目、窓際に座る彼女……桜は今日も変わらない。
ノートをとるわけでもなく、ただひたすら俺を見ている。
初めは気のせいかと思ったが、桜を見れば必ず目が合うのだ。
そして、目が合うと彼女は首を傾げて微笑む。
「…………っ」
大人になる前の、あどけない表情は、いつだって俺の心を掻き立てる。
無垢な果実が赤く成熟する様は、どれだけ魅惑的だろうかと。