第33章 沖田総司の脇差※一期一振R18夢
「今日の出陣、短刀の子が凄かったね!やっぱり極めると違うなぁ」
「霧雨だって、強くなったじゃん?やっぱ隊長務めると、変わるね」
私が第三部隊の隊長の任を解かれ、第二部隊に配置されてから、しばらく経つ。
夜戦に長けている、脇差や短刀、練度の高い打刀で構成されている第二部隊は、毎日必ず出陣していた。
第三部隊の頃は、よく手入れ部屋に行くことも多かったし、体を休めながら出陣していた頃とは大違いだ。
けれど、それが辛いと思うこともなければ、出陣のたびに手入れ部屋にお世話になることも少なくなった。
それだけ、私の練度も上がってるってこと。
やった!強くなってる、私。
第二部隊の隊長である加州清光と話をしながら、報告のために主の部屋を目指す。
報告は、隊長だけ行けばいいのだけど、今日は私も一緒に。
だって私、今日の出陣で誉をとったから。
早く報告してくて、浮き足立ってしまう。
早く、褒めてもらいたい。
主は何て言ってくれるのだろう。
そう色々と考えていると、不意に何か異質な匂いが鼻をついた。
「なに……?」
足を止め、辺りを見回す。
けれど、何か変わったものはない。
「霧雨?どうしたの……?」
急に立ち止まった私に、清光が不思議そうな顔で振り返る。
清光は、何も感じなかったのかな。
それとも、私の気のせいだったのか。
「ううん、何でもない」
もう一度辺りを見てから、首を左右に振る。
やっぱり、何もない。
主がいる部屋は、この廊下を進んだ先の御殿。
再び加州の後について歩き出すと、廊下の先から誰かが来るのが目に入った。