第4章 本丸の終わり 加州清光
「ん……、もう朝……?」
桜が目覚めると、今が何時かすらわからないほど本丸内は静まり返っていた。
「清光、起きて……もう朝……っ」
桜が布団をめくると、そこに桜が知る彼はいなかった。
在るのは一振りの刀、加州清光のみ。
「刀に……還った……の?」
政府から刀剣男士達がどうなるかは、一言も告げられなかった。
けれど、彼らは知っていたのだろう。
魂が刀に還ることを。
「……ふっ、く……そんな……」
泣くことしか出来ない悲しみの中、手の中にある加州清光が温かく感じられた。
それはまるで、ずっと一緒に生きよう。
そう言って、桜を励ましているような気がした。
「そうだね。清光、一緒に行こう……絶対もう離さないからね」
桜は加州清光を手に、一人部屋を後にした。
賑やかだったこの場所も、今はもう静寂だけ。
静けさの中、本丸が幕をとじる。
もう、ここには誰もいない。
終