第24章 本日の近侍※御手杵 R18
はじめての近侍。
そしてはじめての第一部隊隊長の任に着いた。
選ばれたことが嬉しくて、はしゃいだ……ってことはなかったけれど。
情けないことに傷を負った。
ま、戦に出れば、こういうこともあるよなぁ。
うん、うん。
だから、そんな顔しなくてもいいのになぁ。
「痛いですか?痛かったら言ってくださいね?」
「ん?あぁ、これくらいは、錆びのうちに入らないけどな」
心配そうな顔をする桜と、その隣で平然とした表情で正座している御手杵。
桜は打ち粉を手にし、傷付いた御手杵の槍を叩いていた。
「もうすぐ終わりますから」
「たいした怪我じゃないさ」
はっきり言って、ちっとも痛くない。
軽傷くらいなら手入れなんて、しなくてもいいくらいだ。
けど、彼女と一緒にいたいから。
手入れの間だけは、桜と二人きりでいられる。
きっと彼女は自分のことなんか、見向きもしてないのだろうけど。
『模範的な審神者』と言われるほど、審神者としての彼女は優秀で、戦の采配も鍛刀する際の資材の配分の才能もある。
おまけに器量も良い彼女は、刀剣男士に一目置かれ、いつも誰かが側に控えている。
なのに、誰かと恋仲だという話は聞かない。
「よしっ!出来た!」
「こんな軽傷でも、手入れ、ちゃんとやってくれるんだよな……」
満足そうな笑顔を浮かべた桜の横顔を見ながら、頭の中は彼女のことでいっぱいになっていた。
二人きりの時、御手杵の頭をよぎるのは大抵、『いやらしい』ことばかり。
今だって、少し開いた胸元が気になって、何度も視線がそっちにいってしまう。
背が高いせいで、嫌でも視界に入ってしまう。
その気になれば、中が見えるかも。
もちろん、そんなことはしない。
すれすれの理性のおかげで、せずに済んでいるのだ。