第21章 路地裏イチャイチャ IN 不動行光
しまった。これはマズイ。
不動は短刀で、外見は自分よりも幼いから油断していた。
たとえ見た目が幼くても。彼もれっきとした男士。
そういう欲求も当然あるだろうが、これはマズイ。
ここで彼と何か起こせば、確実に怒られる。長谷部に、たぶん。
「えっと……今ので、愛情返してもらったよ……たくさん」
誤魔化すように明るく言うと、不動は何か思いついたような表情になる。
「……そっか!」
ポンと手をつくと、彼は手を差し伸べてきた。
「……帰る、本丸に」
「……へ?」
手を取られ、引き寄せられると、彼は一目散に走り出した。
「不動っ!?」
「俺、わかったんだ!主に、愛情を返す方法がっ!」
そう言って、彼は迷いなく本丸へと駆け出す。
愛情を返す方法が、想像が通りじゃありませんように。
不動に手を引かれて走りながら、そう願った。
けど、やっぱり想像通りだったと知るのは、この数十分後のこと。
「最初に口付けてきたの、主のほうだから」
そう言って彼は、私に充分すぎるほど愛情を返してくれました。
終