第19章 運命の出逢い※燭台切光忠R18夢
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
そろそろ本丸に戻らなければならない。
燭台切の隣で眠る桜の顔を見ると、彼女は気持ち良さそうに寝息を立てていた。
寝顔も可愛らしく、燭台切は微笑む。
さてこの事態、どうおさめたものか。
主に忠告を受けていたはずが、事を起こしてしまった。
今更ながらそのことに考えが至った。
だが、後悔はちっともしていない。
「ま、これしか方法はないよね」
燭台切は桜の額に手をあてる。
「桜、次に目を覚ました時、君は僕の名前も顔も……僕のことを覚えてはいない」
燭台切は桜の記憶を消すことにした。
特殊遠征の場合、不測の事態に備えて一度だけ、人の記憶を改竄することが許されている。
もしかしたら、政府もある程度の不始末を想定しているからこその改竄許可なのかもしれない。
「桜、ごめんね。覚えていない方がお互いのためだよ」
桜は眠っていたが、一筋の涙が目尻から伝う。
燭台切はそれを指先で拭うと、彼女の頬に口付けた。
「おやすみ、桜」
眠る桜に毛布を掛けてやると、燭台切は彼女の家を出た。
主へのお土産を手に、彼は時空の門を開けて本丸へと帰還していった。