第19章 運命の出逢い※燭台切光忠R18夢
時間が経つのも忘れ、燭台切は桜と様々な話をした。
自分のことを話せないため、桜が喋ることが多かったが、燭台切は笑顔で彼女の話を聞いていた。
「もうこんな時間、か……パンケーキ、どうだった?」
「とっても美味しかったです!また……」
また来たい。
そう言いかけて桜は黙り込んだ。
「そっか、それはよかった」
燭台切は、桜が言い濁したことを、敢えて触れない。
また、はないのだから。
この店で売っているお土産も忘れずに、燭台切は会計を済ませて外に出ると、陽が沈み始めていた。
「今日は、楽しかったよ。ありがとう」
これ以上、桜と一緒にいるのはよくない。
彼女の強い力に惹きつけられ、衝動的な行動を起こしかねない。
燭台切は桜と別れようとしたが、彼女は燭台切の服の裾をキュッと掴むと、顔を上げて彼を見つめた。
「あの……もし、光忠さんが良ければその……もう少し、一緒に……いたいなと……」
燭台切が桜に惹かれたように、彼女は出会ったばかりの燭台切に惹かれたのだろうか。
彼女の言葉に燭台切は戸惑うが、同じ気持ちだったことに嬉しさを感じていた。
そして、抑えていた衝動が燭台切の心を占めていく。
「もう少し、か。」
「……はい。ダメ、ですか?」
ダメなわけがない。
桜の頰に手を添え、すっと撫でる。
「ダメじゃないよ……可愛い子のお願いなら、ちゃんと叶えてあげないと格好悪いよね」
燭台切は桜に顔を寄せると、彼女の瞳を近くで見つめた。
こんなに近くで彼女の瞳を見てしまえば、後戻りなど出来ないと言うのに。
「ねえ桜……」
耳元で、桜の部屋に連れて行ってと囁く。
桜は一瞬目を見開き、頰を朱に染めたが、やがてコクんと頷いた。