第17章 保健室の先生※加州清光R18
「俺さ、桜が好きなんだけど……どう思う?」
先生は私のお腹を綺麗に拭うと、上手く身動きできない私の着替えを手伝ってくれた。
そして、唐突にそう聞いてきたのだ。
どう思う、とは。
つくづく、先生のことがよくわからない。
「桜は俺のこと、どう思ってる?」
憧れの人、だけど痴漢するような人。
保健室の先生、なのに生徒に手を出しちゃった人。
なのに私は、ちっとも嫌だと思わなかった。
つまりそれって。
頭の中で色々考えていると、後頭部に彼の手が回ってきて、先生の顔が近づく。
触れるだけの、短い口付け。
触れ合ったかと思えば、唇がすっと離れていく。
唇の温もりが名残惜しくて、彼の顔を見上げると、腰を引き寄せられた。
「その表情、反則」
強く抱きしめられ、彼の赤い瞳にじっと見つめられる。
「俺は、桜が好きだよ」
「私は……」
初めて先生を電車で見掛けた時から、ずっと、貴方を。
格好いいなって、貴方に憧れてました。
また会いたいって、思ってた。
……なんて、恥ずかしくて言えなかった。
「よくわからないので、一晩考えて、また明日来ます」
そう言うと、お昼休みを知らせるベルが鳴った。
流石に、そろそろ教室に戻らないとまずい。
そそくさと保健室から出ようと、多少ふらつきながらもドアに手をかける。
「また明日?」
ガラリとドアを開けると、先生の方へ振り返った。
「そう、また明日……です」
今度は私がそう言って、微笑んだ。
また明日、と。
終