第3章 沖田総司の脇差※加州清光R18
「あ、遠征部隊に私の名前がある!嬉しいなー」
私の朝の日課は、その日の当番表をチェックすること。
遠征ならちょっと嬉しい、出陣ならすっごく嬉しい。
だがら今日はちょっと嬉しい日。
「えーと、私の他には……」
「……俺と安定」
私のすぐ後ろで呟かれ、つい呆れ顔で振り返れば、やっぱり。
「清光と安定かぁ……」
加州清光と大和守安定。
彼ら二振りとは前の主が一緒で、私と同じ新撰組沖田さんの刀だった。
打刀の彼らは、いつもどちらかしか帯刀してもらってなかったけど、脇差の私はいつも帯刀してもらってたんだから。
「嬉しくないの?俺は嬉しいよ?」
「えーどうだろう。嬉しいかなー?嬉しくないかなー?」
清光や安定と遠征で一緒になるのは何回目だろ。
覚えてないくらい、たくさん。
けど、嫌じゃない。
「三振り揃って行くなんて珍しいよね。霧雨と一緒になるのは、大抵は清光か僕のどちらかが多いもんね」
「そうだね、けどそろそろ飽きたかもー」
「ま、今回も期待してよ」
またねと去っていく清光と安定の背中をぼんやりと見ていると、つい溜息が出てしまう。
彼らと一緒にいると、たまに胸が苦しくなる。
沖田さんに似たところが、時々ふとよぎるから。
「私もどこか沖田さんに似てるとこあるのかな……」
それとも、あの人に似ているのかな。
どちらにせよ、自分では全然わかんないや。
そういえば、清光が期待してって言ってたけど、何かあるのかな。
ちょっと嬉しい日が、すっごく嬉しい日に変わるくらいならいいのに。