第3章 洋服を買いに
少しだけ緊張した声。気に入らなかっただろうか。
不安になりながらその姿を見て、ダンテは目を見張る。
一瞬で生まれた不安は一瞬で消えた。
───やっぱりこれにしてよかったぜ…
紫の地に紅い模様が入った服だった。
ミニスカートには深くスリットが入り、下に黒い膝丈のズボンをはいている。
どこか民族的な感じで、の黒い髪と合うと思って買ったのだが…
「………バッチリだ…」
買った本人がうなるほど、それはに似合っていた。
これなら言い争いをしてまで買った甲斐があるというものだ。
満足げな二人に対し、は少し顔を赤らめている。
恥ずかしいのか、なかなか近寄ろうとしない。
「あ あの…すごく素敵な服なんですけど、お腹が…」
そう。
が言う通り、トップスの丈は少し短めでウエスト部分がちらりと見える服だった。
二人ともそれをわかっていて買ったのだ。
は二人がこれを選んだ事に疑問を感じつつ、困ったように視線をさまよわせる。こんな服は元の世界でも着たことがない。
するとダンテが、上から下まで眺めながら言う。
「大丈夫だって。ミスコン1位の綺麗さだ。これにしてよかったぜ」
「…そ、そうですか?」
赤くなり、それでも不安そうな顔をする。
バージルに視線を向けると、やはりダンテと同じように力強く頷いた。
「よく似合ってる」
「うー…恥ずかしいからやめてください、誉めても何も出ませんよ? …あ、おいしいお夕食は出ますけど」
そう言ってようやくわずかな微笑みを見せると、は改めて深々とお辞儀をした。
「本当に、こんなに素敵なお洋服を買っていただいてありがとうございます。すごく嬉しいです」
「いいって言ってんだろ? 俺達もそんなにその服を着こなしてもらえて嬉しいぜ」
は顔を上げ、笑った。
うっすらと嬉し涙が浮かぶその表情に、ダンテの鼓動が跳ねる。
───やべぇ、超かわいいんだけど。
「ありがとうございます。改めて、これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ」
そしては早速、お礼を兼ねた美味しい夕食作りに取り掛かるのだった。