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【DMC】RED

第23章 帰依



今まさにライアを殴ろうと弱く拳を握ったダンテは、背後に感じた熱気と冷気に振り返った。

とてつもない力。悪魔のそれとは違う。
例えて言うなら、魔術の…ライアの力に似ていて。


を支えていたバージルが驚いた顔で、力の抜けた体を見下ろした。
が地面にどさりと倒れる。その瞳は閉じ、幾筋もの涙の跡。

ダンテが慌てて駆け寄ってくる。
寝ている、のだろうか? ゆすっても声をかけても起きる気配がない。
それよりも彼女の涙の筋を見て、ダンテは顔をしかめた。
俺は何やってんだ。を泣かせて。
フラフラになってまで。


ふと気付いた。
彼女の手元で何かが光っている。視界の端に赤がちらつく。

の手を持ち上げたダンテは不思議そうな顔をした。
見た事のない指輪がはまっているのだ。銀のリングに赤の石。
その石から、柔らかく鋭い光が漏れていた。


「何だこの指輪…」

呟いて、の指から引き抜こうとするが。
抜けない。

何かおかしいと眉をひそめる。
バージルはを起こそうと声をかけたり揺すったりしている。
彼女の呼吸は深く長く。
まるで寝ている時と同じ。


ライアは殴られたような衝撃を受けた。
光を発する根源。見なくともわかった。
私の指輪だ。

ひとつの文が脳裏をよぎる。家に遺され今はもうない伝記。

ハッとして空を見ると、もう夜が更けきってから随分と経っていて。
明ける気配。白み始めている東の空。
まずい。


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