第19章 闇
ああ。
ああ、何故。
何故なのですか。
最後の慈悲でもくれてやろうと仰るのか。
暗黒に生まれ暗い道ばかり歩いた私を、光の中で死なせるおつもりなのか。
闇にまぎれて。
向こう側から、金色の空と共にの姿が。
鮮やかに。
それはそれは鮮やかに美しく、目に飛び込んで来た。
夢のよう。
もう、見る事はないと思っていたのに。
幸せです。最期に会う事ができた。
恨みますよ。
迷いが生まれる。
せっかく震えを抑えて負ける気持ちを抑えて自害できるというのに。
後悔してしまう。
とはいえ。
もともと後悔だらけなのですから、今更一つそれが増えた所で何ら変わりません。
その証に、もう、意識が遠くなる。
力が、抗えない命令で自分も消えてしまうのを悔しがっている。
いい気味だ。
真っ青な顔で走り寄って来る。
その腕は、ライアにのばされていた。
そんなに泣きそうな顔をなさらないでください。
足元がふらついている。走らなくていいんですよ。
何か言いましたか?
ああ、もう、声も聞こえない。
貴女の向こうから赤色と青色が走っているのが見える。
貴方達二人とも、早く彼女を連れ帰ってください。
最初で最期のお願いです。
早く。私なんていいですから。
様が無理をして来てくださっただけで、こんなに涙が溢れるのですから。
ライアは、一時でも早く触れようと懸命に伸ばされるの腕に、自分もゆったりと手を伸ばしてみる。
距離十数メートル。
届きはしない。わかっています。
貴女にこの手は、届かない。
最初から。
最期まで。
目の前で。
の目の前で。
ダンテとバージルの目の前で。
冷たい冷たい闇が、非情な優しさを感じる程の速さで、ライアの身体を刺し貫いた。
「ライア────!!!」
鮮血が蝶のように舞う。