第17章 熱
暖かな布団の中にするりと入り込む冷えた空気に、は身を震わせた。
───うー…何だか今日寒いなぁ…
しばし布団の温かさをその身で受け止める。
ぬくぬくとした布団の中にいると頬に触れる部屋の空気との寒暖の差が感じられて、ますます出たくなくなっていた。
身を包む暖かさと共に次第に眠気まで再びやってきて、これでは駄目だとは一気に布団から出た。
瞬間まとわりつく冷気に耐え急いで着替える。
この数分のために暖房をつけるのはもったいなくて、は多めに服を着ると部屋を出た。
多分、リビングはもう温かいだろう。バージルが起きているはずだ。
部屋を出ても空気は冷えていたが、階段を降りるうちに温かさが身を包んだ。
低く唸る暖房の音。変わらない室内にほっとする。
キッチンから音がするのに気付いた。
もう朝食の準備をしているのだろうか。
当然ながらダンテがまだ目覚めていない事を確かめて、はドアを開けた。