第16章 冷雨
はダンテに手を引かれて再び歩き出した。
顔がまだ暑い。
いきなりで心臓が止まるかと思った。
誰かに見られただろうか?
心配だが、怖くて顔が上げられない。
しかし嬉しいと思う気持ちがあるのも確か。
雨が降ってるのに気付いて、バージルとライアにだけ行き先を告げて出て行った私を走って追いかけて。
合うなり抱き締めてくれて、温めてくれて、庇ってくれて、口づけてくれて。
溢れるくらいの優しさ。大切に想われている証。
今までを思い返したは、少しうつむいて笑った。
───だぁから…それが可愛いんだっつの!
横目でを窺っていたダンテは思う。
自覚がないのが心臓に悪い。ふとした瞬間のちょっとした仕草が、息を飲むほど可愛くて。
自分には勿体無いような。
だけどそんなと手を繋いでいるのが、これ以上ないくらい嬉しい。
大切な大切な宝石のよう。
手をぎゅっと握ると、優しく握り返してくれる。
は隣にいるんだと実感する。
それが何より好きだった。
「ダンテ…」
「…ん?」
が開く唇にさえ、敏感に反応して魅入ってしまう。
触りたい。
触りたい。
閉じ込めて、自分だけのものに。
「私も…心臓止まりそうだったよ」
「………」
───ああ。
帰ったら、の身の保証ができねえ。
ダンテは握っているの手を持ち上げると指先に唇を当てた。
その小さな手は、もう冷たくはなかった。
俺の手も冷たくない。