第15章 酒が見せる夢
思わず苦笑が漏れる。
全く、まるで小悪魔そのものだ。悪魔と魔術師を翻弄し、去って行く。
手が届かない。
それすら計算されているかのよう。
眠ってしまったをどうこうしようとは思わなかった。
そんな事は割に合わないし、感情を抑えるだけの理性はまだある。
ライアもそれ以上に手を出さず、寝息を立てるの髪を撫でていた。
まぁ、ダンテが眠った事は感謝すべき事だな。バージルはソファから転げ落ちそうな態勢で寝ているダンテを見る。
おかげで幸せな時間ができた。罪悪感がないといえば嘘になるが、たまには、と思うのも事実。
自分にあんなに激しい感情があるとは知らなかったが、悪い気はしなかった。
ダンテ。
お前がを泣かせるような事になったら、俺は迷わず奪うぞ。
寝顔を睨んでやる。
まだ諦めていないこの感情を、あいつは知っているのだろうか。
ダンテは幸せそうな顔をして眠っていた。
バージルはダンテから目を離し、ふとソファから落ちているの手に目を止めた。
それを流れるような仕草で持ち上げ、手の甲に静かに唇を落とす。
それを見たライアはの髪に。
心をこめて、感謝と愛を。
やがて。
夜が必ず明けるように、眠りは覚める。