第13章 約束
「これで報酬があるといいんだけどな…」
ぼそっと呟くダンテ。
さっき依頼人の女を突き飛ばし、依頼をひとつふいにしたのだ。
悪魔も倒したのに報酬はゼロ。更にまた住人が一人増えた。
どう考えても痛い話。
すると、それを聞いたライアが。
「金ならある」
そう言った。
ダンテはを抱き締めたままライアを見る。
「あんのか?」
「先祖の財産と両親の財産と、あと…この家を売る」
「いくらくらいだ?」
「10億ほど」
「じゅうお………10億!!?」
一生働かなくてもいいくらいの金額だ。
ダンテの腰が浮く。手にした事もない金額に思わず力が入り、腕の中のがうめいた。
ダンテは慌てて腕をゆるめ、ライアに尋ねる。
「何でまたそんなに…」
「使い道がわからず放っておいていた」
「放っておいていたって……いいのかよ? そんな大金…」
「別に貴様らにやるわけじゃない。様に」
「え? 私?」
突然振られては瞬く。
「はい。命を伸ばして頂いた御礼とご迷惑をおかけした謝罪です。これでも不釣り合いだとは承知していますが、どうぞお好きなように」
「えっ」
金額が大き過ぎて実感がわかない。自分一人で受け取るには不安で。
「皆で使う…じゃ、駄目?」
不安そうに言ったにダンテは笑いそうになった。
全くらしい。全てを包んでくれるかのような感覚に陥る。
暖かい、暖かい。それはまるで母親のような。
の頭を撫で、愛しそうに見つめる。
それが肯定の証。
彼女の顔が輝いた。バージルを確認するように見ると、彼もまた頷く。
「ん、じゃあそうしよう!」
「わかりました」
貴女が望むなら、とライアは呟いた。
「…あ。この家の荷物はどうするの?」
「必要なものはありません」
言い切るライア。迷いも心残りもない口調。
滅ぶなら跡形もなく。全てを捨てて。一切遺さず、合切斬り捨て、滅びたい。
ライアはそう思っていた。
「そっか。じゃあ、帰ろう」
そしてこの日。
死神に取り憑かれた魔術師が、Devil May Cryにやって来たのだった。