第13章 約束
「っっ!!!!」
突然、部屋の窓が吹き飛び、赤と青が飛び込んで来た。
「!?」
ライアは口を離し、手の甲でぬぐう。の前に庇うように立つ。
は抵抗する気を無くしぐったりと力が抜けていたが、かろうじて窓の方を見た。
───?
赤い…ダンテ……?
でもそんなはずはない。今頃ダンテは仕事に行っているはず。ここにいるわけが…
「!」
再び叫び声。必死の思い。それは確かに聴き覚えがあるもので。
一番聴きたかった声があって、一番見たかった姿があって。
「ダンテ!?」
跳ね起きる。
まさか本当に。でも夢じゃない。
ダンテがいる。
ダンテはの有り様を見ると、瞬時に理解した。
胸のあらわな。必死に布団を掻き寄せる震えた手。目には涙。すがる瞳。
そしてライアの服ははだけられ、の首筋に紅い跡。
「………!!!」
ライアを渾身の力で殴る。
「……っ」
吹き飛ばされた彼の口の端から、血が一筋流れた。
「てめぇ……」
目の前が赤い。身を掻きむしるほどの憎悪が支配していく。
拳を固め、二発目。
「ゃ…っ」
が小さく悲鳴を上げた。しかしダンテは周りが見えなくなるほどの怒りで染まっていて、その悲鳴は耳に届かない。
「てめぇ……殺してやる…!!」
倒れる身体にのしかかり、三発目。
バージルがに駆け寄るとコートをかぶせて引き寄せた。
は震えが止まらない。目の前の惨劇に視線が動かない。
あれがダンテ?
「殺しても殺し足りねぇ!! 地獄に突き落としてやるよ」
ダンテはライアの胸ぐらをつかみ引き上げると睨みつけ。ライアは抵抗もせずただ見ていた。
それにカッとなったのか、更に殴るダンテ。
再び吹き飛ばされたライアは、上体を起こしただけで立ち上がらなかった。
の目に涙が滲む。視界が歪む。
ダンテが暴力を振るう所なんて見た事がなくて。こんなに怒っているのも見た事がなくて。
「やめてよ…」
悲しくて哀しくて泣きながら請うが、届かない。