第12章 闇の豪邸
「こちらのベッドです」
はライアに案内され、寝室に来ていた。
もう外は真っ暗。が作った夕食も食べ終えた二人は、後は寝るだけだ。
「大きくて立派なベッド…。わ! 布団がふわふわ」
触ってみて、嬉しそうにライアを振り返る。
ライアは微笑み、自分の黒い服のボタンをぱちん…とひとつ外した。
はそれに気付かず、いそいそとベッドにもぐりこむ。
「すっごいふわふわしてる…気持ちいいー。じゃ、おやすみーライア」
ぱちん。
もう一つボタンをはずすと、ライアはに近寄った。
布団に入り込んでしまった彼女の耳にささやく。
「からかっているのですか…?」
そっと、にかかった布団をずらした。
「?」
きょとんとしているの顔を見て、ライアは思った。
やはりは勘違いしているようだ。心の底ではまさかと思っていたが。
勘違いしているから、こんなに簡単についてきたのだ。
しかしだからと言って、今更離すはずもなく。
「ライア?」
名前を呼ばれると、どうしてこんなに幸せになるのだろう。
貴女に出会えて私は、もう一度笑えるようになった。ぎこちなくでも、笑みを思い出せるようになった。
「…」
「え…」
甘いささやきと共に、ライアの顔が近付く。
驚くにそっと。
誓いの口付けを。
「もう、貴女を離しは致しません」