第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
見ると、席に座っている大体は男女2人で付き合っていそうな人ばかりだ。
この映画はカップル向けということなのだろうか。
少し照れくさくなりながらも、
本当にここにいていいのかと疑問に思い隣にいる学秀に目を向ける。
あまり気にしていなさそうだった。
そして、きっとなんとも思っていないだろう。
私だけ気にするのはおかしかったかもしれない。
そう思いながら前を向いた。
しばらくすると、コマーシャルが流れ次に映画のオープニングが流れ出す。それが終わると目的の映画が流れ出した。
全体的なあらすじは、小さい頃からずっと一緒の幼馴染はずっと主人公が好きで...それに本人は気づかない。
けれど、ひょんな事から2人の仲は進展していくという話だ。
その幼馴染の告白時の言葉は、
優しく印象に残るものだった。
正直なところ、最初は観たいものが見れなくて憂鬱な気分だったが今はこの映画で良かったと思った。
すごく...感動するし、面白い話だった。
この映画を観ようと言った学秀の意図は未だにわからないけれど、提案してくれたことに感謝したいぐらいだ。
ふと気になり隣の方を見る。
学秀から言い出しはしたけれど...いつもの性格上あまり恋愛ものは興味がないのではないだろうか。
そう思い、心配になる。
案外私が見てるのにも気づかず見入っているようだった。目は真っ直ぐで、真剣に観ている様子。
これは心配いらないなと、私は前の方に視線を戻した。
ーー
そうして、観ているうちに物語は終わってしまった。
会場が明るくなり、ぞろぞろと人が席を立ち始めたので私達も荷物を持ち劇場を後にする。