第3章 自覚し出す心
《 学秀 side 》
その次の日。
早速花日と近くの公園で待ち合わせしていた。
いつもは車で行ったりしていたが、花日と話す手段はこれしかないと思ったのだ。
前からあいつと絡むと生徒会長として張り詰めていた息が緩むのを感じていた。
最初のうちはただ面白いやつとだけ思っていたが、いつからか。
気がつくと、
彼女を探すようになっていた。
「お待たせっ!!」
「やっと来たか。行くぞ」
そういい歩き出す。
珍しく髪にヘアピンをつけているものだから、無意識に背中を向けていた。
(...似合う)
さらさらな茶髪ロングヘアに白い小さなリボンが留められている。
思わず見惚れて、直視できずにいた。
当の花日は何故学秀が先を歩くのかわからず、隣へ並ぶ。
「もう!何で先に行くの?あれ、私もしかして時間遅れてた?」
「べ、別に遅れてなんかない。僕は歩くのが早いんだ」
「でも学秀、いっつもはそんな早くないよ...?」
もしかしてバレただろうか?
内心すごく焦っていると、横からまた声が聞こえて来た。
「なんか生徒会とかの用事?大変だね〜」
「まあ...お前と違って忙しいからな...」
よかった気付かれなくて。
心の中で安堵をする。
今までの様子だと花日は恋愛系に疎いみたいだった。
自分がバレることもないし、他の男に遠回しに何か言われても気付かない。
実のことを言えば、花日ははっきり言って可愛い。その上、明るく愛想も良いから、昔から先輩後輩問わず想いを寄せる人も少なくなかった。
だが肝心の本人は恋を知らないとともに鈍い。
告白したやつは当然断られ、しなかったやつも自然と振られる形に。