第5章 募る想い
「京都だーっ!」
数時間新幹線に乗った後は京都。
楽しみだった修学旅行だ。
「そんなはしゃがないでよ、花日」
「だってすごいじゃん!」
私にそう言う渚は結構落ち着いている。この旅行を目の前にして何も言わないとはどこかおかしい。
「私、花日の気持ちわかるよ〜」
「さすがカエデ!」
「せっかく京都まで来たんだから、抹茶わらび餅食べたーい!!」
カエデがはしゃぐ理由はそういうことなのかと思いながらも「そうだね」と返答をする。
それからしばらくいろいろ話していたが、やはり皆は心なしか楽しみそうな感じだった。
ーー
清水坂まで行き、お店に立ち寄る。
これは事前に相談していたことだ。
学秀にお土産を買うならばいろんな店がある清水坂がいいと思い、渚達に行きたいと希望していた。
急に言ったことなのだがみんな快く許可をしてくれ、今ここにいる。
自分たちもお土産買いたい、とは言ってくれたがやっぱり待たせてしまうことになる。迷惑をかけないよう素早く決めたい。
「誰に買うのー?それ」
声のした方を振り返ると、業さんがいた。それとは、手に持っていたストラップのことなのだろう。
「あー...学秀に」
自分が下心を持ってるだけなのかもしれないが、言うのが少し恥ずかしくなり、思わず目を逸らしながら言ってしまう。
「なんで?」
「あげる約束、したから」
やっぱりおかしいのだろうか。
恋人でもない分際で、何か贈り物をするなんて。
「ふうん...あいつと花日ちゃんってどんな関係?」
「別に...ただの、幼馴染だけど」
答えた瞬間、少し胸にざわつく心地がした。自分の返答に違和感があるのはどうしてだろう。
私自身、学秀をそうだと思っていないから?
やっぱり、まだ私にはわからない。