第7章 アカデミー
『...』
声すらでないくらいに驚いていた。
だって6歳の女の子を9歳の男が抱き締めるって..
ん?あれ?普通..か?え、普通なのか?
『あ、あの、シスイさん?』
抱き締めてから何も話さないシスイさんに内心混乱しながらも平静を装って話しかける。
「...大切な人を失うのが恐いのは皆一緒だ。」
『!』
「守りたいと思うのもそうだろうな。...けど、お前の場合、守りたいものはそのうちこの世のすべてとか言い始めそうだ。」
『...』
「お前の守りたいものはお前だけでは重すぎる。」
『...』
わかっている。そんなことは...
私一人では何もできないし、何も救えない。
これからどれだけ頑張って修行をして、皆から認められるくらいの忍になっても、いくら、うちは一族でもどうやっても限界はくるし、全ての人間を守るなんて不可能に近い..
私はシスイさんに抱き締められたまま、手を握りしめた。
「...お前だけでは、一人では無理だ。...だけど、二人ならどうだ?」
『え?』
驚いて顔を上げる、予想以上に近くにあったシスイさんの顔に驚いたが、真っ直ぐ目を見つめる。
「..お前の守りたいもの、大切なもの、全部俺が一緒に背負ってやる。だから、俺になんでも相談しろ。」
そう言って、なっ?と私の額にトンっと人差し指をぶつけた。
『シスイさん...』
「その代わり、俺の守りたいものや大切なものを一緒に背負ってくれ?」
『...はい..ありがとうございます。』
私に優しく笑いかけながらそう言ったシスイさんに、私も笑顔で返した。
すると、シスイさんは私から顔をそらすようにギュッと抱きしめ、顔を肩に埋めてきた。
『シスイさん?』
「シスイでいい。イタチはそう呼んでるからな。敬語もいらない」
『...わかった。』
私はシスイの腕の中でコクリと頷き、背中に両腕を回して、抱き締め返し、イタチによくやるようにすり寄った。
シスイはピクリと体をはねらせると、肩に顔を埋めたまま、私の頭を撫で始めた。
「これは、イタチも過保護になるわけだ..」
『?』