第7章 アカデミー
「じゃあ次はうちはイタチくん」
先生の言葉に反応するようにイタチは静かに立ち上がり眉間の少し上を撫でてから、胸を張った。
「うちはイタチです。夢は...」
そこで口籠ってしまった。
『イタチ...』
私は静かにイタチの名を呼び手を握った。
イタチはここで自分の夢を語っても良いものなのだろうかと考えているのだろう。
変なところで..消極的だな。
『大丈夫。』
私は、イタチに静かに微笑み一言だけ、そう口にした。
「...俺の夢は..この世のすべての争いを消しさってしまえるほど、誰よりも優秀な忍になりたい。」
言いきった。私はイタチに微笑んだまま座らせるようにぐっと引っ張った。
教室の隅で誰かの笑い声が聞こえた。それからすぐに拍手がおこる。
先生はイタチの方を見ながら、よくできました。と笑った。
イタチは私の手を握ったまま、私の方に体を寄せてきた。
そんなイタチの頭をそっと、撫でると、さっき笑い声が聞こえた方を静かに睨んだ。
「では、次、うちはツバキちゃん。」
イタチとの手を離して静かに立ち上がる。
『...うちはツバキ。夢はイタチの側で、イタチをずっと支え続けること。もう一つは大切な人を守れるくらいの優秀な忍になること。以上』
私はそう言い捨てると、音をたてて座った。
「...姉さん?」
どうした?と言いたげな顔で私の顔を覗いてくる。
『イタチのことを..イタチの夢をバカにするような人..誰であろうと許さない。』
そこまで言うと、少しだけ殺気を出した。
どうやら、私の声は教室にいる全員に聞こえたらしい。
先生は驚いたように、生徒は怯えたように私を見ている。
「...姉さん。俺は大丈夫だ。」
イタチは私の手をギュッと握り、落ち着かせるように頭を撫でてきた。
そんなイタチに私は少し不服そうな顔をしたあとため息をつき、殺気をしまった後、イタチに抱きついた。
人の目なんて気にしない。
イタチは驚いたのかビクリと体を跳ねさせたが、優しく私の頭を撫でてくれた。
少し子供っぽい姉を、イタチは嬉しそうに微笑み、撫で続けた。