第6章 新しい命と失われた命
つい、オビトさんと言ってしまいそうになった。
雰囲気からして、あちらも私がいることは予想外だったらしい。
『...誰ですか?見たところ、暗部でも無さそうですけど。』
ここはあえて知らないふりをする。
「...答える義理はない」
『...そうですね。バカ正直に聞いてもそんな簡単に答えるわけないですよね。』
少しでも..
『ですが、あえて質問させていただきます。』
少しでも..
『あなたは、木ノ葉の忍..ですか?』
時間を..稼げ...!
「..答える義理はないと言ったはずだ。」
『..少しぐらい教えてくれてもいいのに』
「時間稼ぎは終わりか?」
『!』
「俺はもう行く。」
『っ!待って!』
結界の方へ歩き始めた仮面の男に私は叫んで止めた。
そんな私の叫びに、仮面の男は1度止まり、私の方を一瞥してから、また歩きだした。
っ!ダメか..こうなったら、もう。
そう考えるや否や、私は手裏剣を取り出して、仮面の男に向けて、思いっきり投げていた。
私が投げた手裏剣を軽くかわした仮面の男はゆっくりと私の方を見た。
「...死にたいのか?」
身が凍るような殺気を放ってくる。
ほんとに、これがあの優しいオビトさんなのか、そう疑わせるほどに本気の殺気だった。
「お前はまだ発展途上だ。これから伸びる。なのに、こんなところで死んでしまってはもったいない。」
『確かにここで死ぬのは嫌です。けど、あなたを行かせるのも嫌です。』
「甘いな。お前に残された選択は3つだ。一つ目はこのまま逃げる。まあ、お前を生かしておく気はないから逃げるなら逃げるで殺すがな。二つ目は俺の邪魔をしてここで死ぬか。三つ目は俺を行かせて俺の用事が終わった後に死ぬか...好きなのを選ぶんだな。」
『結局死ぬんじゃないですか。全部嫌です。』
「なら、今すぐに死ね。」
そう言って、仮面の男はクナイで私の首を掻き切ろうとしてきた。
それを軽やかに避ける。
いい、このまま..少しでも..
時間を...