第6章 新しい命と失われた命
クナイを避けた瞬間、仮面の男は私の背後に瞬身で移動した。
それに反応して私も瞬身で木の枝の上に移動する。
『くっ、...』
「.....」
前よりあきらかに強くなってる。前のような、少しドジなところが見当たらない。
今、私があの人に勝てるところというのは多分ないだろう。
力もスピードも経験値も..何もかもあちらが上。
だけど..それでも...
『火遁・豪火球の術!!』
私は木から飛び降りながら素早く印を結び術を発動させた。
「.....」
私が足止めを..
「まだまだだな..」
『!...ぐっ..ア...』
着地し、仮面の男の声が後ろから聞こえたと思ったら、首に凄まじい痛みが走り、そのまま、バタリと倒れた。
『っ..じ、時空間..忍術...っ』
どうやら、仮面の男は豪火球を食らう前に、時空間で別の空間に飛び、すぐに私の背後に移動して、手刀を食らわしたらしい。その証拠に男の体の一部が螺旋状になっている。
「.....」
『っ、...うっ..』
首が痛い。意識が朦朧とする。
仮面の男は痛みを土に額を擦り付けながら堪える私を静かに見つめた後、ボソリと何かを呟き、私に背を向け歩きだした。
その呟きはうちはマダラでも、トビでもない。うちはオビトの言葉だった。
その言葉に私は目を見開いてオビトさんを見ようとした。
が、首の痛みがひどく、起き上がることすらできなかった。
『ま...っ!..まてっ..』
か細く呟くように言った私に仮面の男は1度立ち止まり、こちらを向かず、
「...お前では俺には勝てない。無駄な足掻きはやめるんだな」
と、言い、また歩き始めた。
私は痛みから来ているものなのか、恐怖から解放された安堵のものなのか...それとも...オビトさんから言われた言葉によるものなのか、よく分からない涙を流しながら、額を思いっきり地面に打ち付けた。
『っ...ふっうっ....オビ..トさ...っ』
〈...強くなったな..ツバキ〉