第6章 新しい命と失われた命
まあ、カカシさんとはこんなエピソードがあった。
悪いニュースはここでおしまい。
良いニュースというのは、今、現在進行形で行われている、会話の中にある。
「え?」
『あと少しで生まれるの?』
そう、母さんがだんだん大きくなっていくお腹を押さえながら私たちに笑いかけてきた。
「そうよ、あともう少しで...」
母さんは私達二人は抱き寄せて嬉しそうに笑った。
今日は、私達二人とも母さんの病院の付き添いをしたあと、修行に行くつもりだったのだが、まさかの母さんがすぐに入院することになり、どこか悪いのかと焦って病室に入り、今に至る。
「...どこか悪いのかと思った。」
『うん。本気で焦ってオロオロしてた私らバカみたい』
「それはごめんなさいね?母さんもまさかこんな急に入院することになるとは思わなかったから」
『...まあ、家の事は任せてね。』
「ええ、頼りにしてるわよ。ツバキ、イタチ、」
『うん。私、ご飯も作れるし、洗濯物も干したり畳んだりできるし、片付けもできるから、大丈夫。』
「フフッ、ほんとに、あなたはいいお嫁さんになるわよ。ツバキ」
私の頭を撫でてニコニコする母さん。まあ、前世の年齢と合わせたら30過ぎてる女が料理も洗濯も片付けも出来なかったら危ないよね。
私からすれば出来て当然。出来なきゃヤバイ←
『...私みたいなの貰ってくれる人いるのかな?』
「絶対いるわよ。あなたは可愛いんだから!」
親バカか...
『ん、ありがとう。けど別に結婚しなくてもいいや』
「あら?なんで?」
『私にはイタチがいるから』
私がそう言うと、さっきから難しい顔をずっとしていたイタチがバッと私の方を見た。
『私、イタチさえいれば生きていけるから』
「...俺も、姉さんがいれば生きていける」
「あなた達は相変わらずね?昔からお互いを大切に思ってる..」
私達の言ったことに、母さんは苦笑してそう返した。
『あ、もう一人増えるね。』
「?...そうか..そうだな」
「ん?何が?」
『「秘密」』
ーーーー私達にとっての大切な人が...
一人増えるねーーーー