第6章 新しい命と失われた命
ミナトさんが火影になった。
うちは一族ではその事に不満を持っている人たちが多数いるようで嫌な顔をしているが、私としてはとても嬉しいことだ。
だって、大好きな人の夢が叶ったのだから。
本当は行ってほしくないのだろうけど、父さんは基本私がミナトさんの所に行くことは何も言わない。
気を付けろよ。と、言って送り出してくれる。
多分、まだ子供だから許されるのだろう。アカデミーに入ったらそんな自由な行動も許可してもらえなくなるだろうな。
そう考えながら、私は飛雷神の術でミナトさんの家まで飛んだ。
術式はミナトさんの家の庭につけてるからいつでも行ける..!
便利な術だなと思いながら、ミナトさんの家のインターホンを鳴らした。
すると、中からいつも出てくるクシナさんではなく。
『あれ?ミナトさん?』
「?ツバキ?今日修行する約束してたかな?」
ミナトさんがいた。
『いえ、今日はミナトさんにお祝いを言いに来ただけです。』
「..!」
『...おめでとうございます..!ミナトさんの夢が叶って、私も嬉しいです』
「ん、ありがとう!」
そう言うと、ミナトさんは嬉しそうに私を抱き上げた。
そして、そのままリビングに連れて来られた。
『ミナトさん?』
「もうすぐクシナが帰ってくるんだ。お祝いだと言ってね、たくさんお菓子も買ってくるだろうから一緒に食べよう。」
そこまで言うと、私をソファーに下ろしてニコリと笑った。
『..はい...!』
私は隣に座ったミナトさんに勢いよく抱きついた。
「?どうしたんだい?今日はやけに素直?だね?」
『...嬉しいからだと思います』
私は顔を上げミナトさんに向かって笑いかけた。
ミナトさんはそんな私に驚いたように目を見開いたが、すぐに嬉しそうな顔をして笑った。
「けど、一つだけ嬉しくないことがあるんだ。」
『?なんですか?』
「ツバキと中々会えなくなる」
『...私はたまに会ってくれたり、修行を見てくれるだけで充分です。』
「そんな寂しそうな顔して言われても説得力ないよ」
寂しくなくない...