第11章 管理人と特訓
「だから...お前まで、いなくならないでくれ」
『...う、ん』
「何かあったら俺を頼ってくれ..何でも一人で決めて、一人で行動するな..」
『...うん』
「心配...させないでくれ」
『...うん..ありがとう』
弱々しい声で言葉を紡ぐシスイに額をくっつけたまま笑顔を向ける。
「...守れなかったらお仕置きな」
『え”...』
黒い笑顔で言ってくるシスイに、嫌そうな顔を向ける。
そんな私の反応が面白かったのかシスイは、クツクツと笑うと、額を離して、私の肩に顎を乗せ、背中をトントンと規則正しく、優しく叩いてきた。
ずるいな...シスイは..
涙が出そうになるのを必死で堪える。
この世界での、父親と、母親を殺した..
前世での親のように、ろくでもない親なら良かったのに...
私を、ちゃんと愛して、大切にしてくれていた父と母を、この手で...
平気な振りをしていた..イタチの前でも、シスイの前でも...
けど、無理だったようだ。
静かに、頬に涙が伝う。
本当に、忍のくせによく泣く...
罪悪感に呑まれてしまっていては、何もできない...
そう思って、涙を止めようと、目の周りの筋肉に力を入れてみるが、涙は止まらない
音はしない、声も出さない...
ミナトさんと、クシナさんが、死んでしまったときと同じように、心に大きな穴が空いたようだ。
シスイは、私が涙を我慢しているのを...多分、分かっていた。
だから、私の顔を見ないように抱き締め、安心させるように背中を叩いてくれているのだろう。
私が、一人で泣かないように...
本当に...ずるい人